【新規就農者向け】農地取得の手続きと就農計画の立て方|行政書士がわかりやすく解説
はじめに
農業を新たに始めたいと考える「新規就農者」が農地を取得するには、農地法に基づいた適切な手続きが必要です。本記事では、農地取得までの流れと、申請に必要な営農計画書の具体例まで、行政書士の視点から丁寧に解説します。
1. 農地取得には「農地法第3条の許可」が必要
農地を売買・賃貸・贈与などにより取得する際は、農地法第3条に基づく許可を農業委員会から得なければなりません。この許可を得ないまま契約しても、その契約は無効になります。
2. 許可を受けるための要件(令和5年以降の制度)
農地法第3条の許可には、以下のような要件を満たす必要があります。
✅ 主たる従事者要件
取得後、本人または世帯員が年間150日以上、農業に常時従事すること。
✅ 全部効率利用要件
所有または借りているすべての農地を、効率的に利用すること。
✅ 地域との調和要件
農地を取得することで、周辺農地の耕作や地域の農業に支障を及ぼさないこと。トラブルを避けるため、地元農家や自治体との協調が重視されます。
✅ 下限面積要件の撤廃(令和5年4月~)
従来は市町村ごとに最低耕作面積(例:50a)が設定されていましたが、現在はこの要件は完全撤廃され、小規模農地の取得も可能になりました。
3. 申請の流れ
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農地の選定・所有者との交渉 
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農業委員会との事前相談(必須または推奨) 
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必要書類の準備 
 - 農地法第3条許可申請書
 - 農地の位置図・登記事項証明書
 - 営農計画書(新規就農者は特に重要)
 - 賃貸借契約書または売買契約書の写し 等
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農業委員会による審査と公告(2週間ほど) 
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許可書の交付 → 契約実行・登記など 
4. 【重要】営農計画書の提出がカギ
新規就農者が農地を取得する際には、営農計画書の内容が審査の重要ポイントになります。
以下に、実際に提出することを想定したサンプル計画書を掲載します。
📄 営農計画書【記載例】
1. 就農の目的
都市部から移住し、持続可能な農業を目指して独立就農する。地域の高齢化に伴い減少する担い手を補い、地元農業の継続に貢献したい。
2. 営農内容
項目 内容 
栽培作物 トマト、ナス、ブロッコリー(露地・簡易ハウス) 
面積 合計30a(借地) 
作業日数 年間180日以上(常勤) 
従事者 本人(主)+ 配偶者(収穫・販売補助) 
栽培開始時期 許可取得後、翌月初旬より定植予定 
3. 販売計画・収益見込み
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主な販売先:JA直売所、道の駅、地域飲食店 
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年間売上(初年度想定):120万円 
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SNSとネット販売の導入検討 
4. 資金計画(初年度)
費目 金額(円) 
農機具・資材 700,000 
ハウス設置 300,000 
肥料・種苗 200,000 
雑費・輸送費など 100,000 
合計 1,300,000 
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自己資金:80万円 
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市の新規就農補助金制度:50万円申請予定 
5. 農業研修・経験
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農業支援センターで6か月間の実地研修 
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地元農家にて収穫・播種の実習経験 
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県の農業法人セミナー受講済み 
6. 今後の展望
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2年目以降は面積を60aに拡大予定 
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農業経営改善計画(認定農業者)を目指す 
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地元農家と連携した共同出荷・ブランド化にも挑戦 
✅ 審査で重視されるポイント
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営農計画が現実的で実行可能か 
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販売先が具体的か 
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家族や地域との協力体制があるか 
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自己資金や支援制度を活用しているか 
5. よくある質問(FAQ)
Q:農業経験がなくても大丈夫?
→ 経験がなくても研修や支援制度を活用していれば許可される可能性は十分にあります。
Q:相続した農地には許可が必要?
→ 相続自体には農地法の許可は不要ですが、第三者へ貸す・売る場合は許可が必要です。
Q:小さな面積でも申請できますか?
→ はい。令和5年の改正により下限面積要件は廃止されており、1aでも可能です。
6. 行政書士に依頼するメリット
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地域の農業委員会との調整サポート 
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営農計画書や申請書類の代行作成 
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就農支援制度の情報提供・活用アドバイス 
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許可取得後の農地契約や地目変更サポート 
7. まとめ
令和5年の制度改正により、農地取得のハードルは下がりました。
しかし、「農業を実際に行う意思と能力」「地域との調和」は依然として重視されています。
当事務所では、就農の相談段階から許可取得・計画書作成までフルサポートいたします。
新しく農業を始めたいと考えている方は、まずはお気軽にご相談ください。
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